前職サッカー選手の新入社員が語る★「企業ビジネスっておもしろい!」≪前編≫

インタビュー

17年6月01日

サッカーを続けるか就職するか――、僕みたいに悩んでいる学生に、企業で働くおもしろさを伝えたいんです」
今回のコラムは、『株式会社アンビション』で営業マンとして活躍中の平田のこんな一言から始まった。この春、アンビションに入社した24歳の平田。約半年前まで、JFLのチームに所属しながらプロを目指すサッカー選手だった。

夢はJリーガー。高校生では日本の頂点に!

平田がサッカーを始めたのは5歳のとき。小学生のときは市町村選抜に選ばれ、中学生のときはセレクションを勝ち抜けてJリーグのジュニアユースに所属。高校生ではサッカーの名門校でキャプテンを務め、チームを日本一に導いた。
「将来の夢はもちろんJリーガー。大学4年間でフィジカルやスピード面を鍛えて、卒業したらプロになるつもりでした」
大学生になると、入学直後からレギュラーに定着。プロになるという目標に向けて順調に走り出した矢先だった。2013年の冬、平田が1年生の終わりに、チームは関西学生サッカー連盟の1部から2部へと降格する。
「ショックはありましたがまだ2年生でしたし、落ち込むというより絶対に1年で1部に上がってやる!という気持ちの方が強かったですね」

こう当時を振り返る平田。その言葉通り、彼の活躍で見事チームは1シーズンで1部への昇格を果たし、3年生では強豪校ひしめく1部のピッチでさらなる存在感を放った。
しかし、チームとしての結果は残せず、3年生が終わるときには2度目の2部降格を経験。大学ラストシーズンとなる4年生を2部で戦うことになったのだった。

卒業後の進路は真っ白!迷いに迷ったJFLへの決断。

言うまでもなく、大学生にとって4年生は卒業後の進路を決定付ける重要な1年。サッカーでも、4年生になるとプロを目指す学生が次々とJリーグのクラブへ内定を決めていく。
「大学最後の年に2部にいたことで一番辛かったのは、スカウトの数が1部と全く違うことでした。1部の選手に比べてチャンスが少ない分、Jリーグのチーム練習にも何度も参加してアピールしました。とにかくプロへの道を見出そうと必死でしたから」
しかし、プロへの扉は重かった。幼いころから輝かしい経歴を持つ平田にもJリーグからのオファーがくることは無いまま、とうとう季節は4年生の冬を迎える。
「就活は全くしていませんでした。プロを目指すという信念があったので、就活するとその信念がブレてしまうことになると思っていましたから。当然進路が決まっているはずもなく、この先どうしたものかと。かと言ってサッカーを辞める決心も付かず、進路は迷路(笑)。真剣に考えれば考えるほど何も見えませんでした」

そんなときだった。迷路の中でもがく平田に、あるチームから声が掛かったのだ。関西に拠点を置くJFL(日本フットボールリーグ)のアマチュアチームだった。
「嬉しかったけど、めちゃくちゃ迷いました。やっぱりずっとJリーガーを目指してやってきたから、プロへのこだわりがありました。だけどそれ以上にサッカーを諦めたくない気持ちの方が大きかったですね」
迷いに迷った平田がチームに入団の返事をしたのは、2015年12月25日。学生時代に叶えられなかったプロになる夢に向けての延長戦のホイッスルが鳴った日だった。
「今までの彼女と過ごしたどんなクリスマスよりも、忘れられないクリスマスでしたね(笑)」
笑いながら振り返るその言葉からも、当時の決断にかける思いの大きさが伝わってくる。

JFLはアマチュアのリーグだが、JFLでの活躍が認められてJリーグのクラブへ移籍する選手や、クラブチーム自体がJ3に参入することもある。サッカーを続けている限りプロへの道が閉ざされるわけではないのだ。
平田は心機一転、JFLでプロに向けての新たなスタートを切った。

中編に続く≫

Written by ふじこ