考えたことありますか?「ヒトの脳はなぜ大きくなったのか」

雑学

18年2月21日

「私たちヒトは本当に特別な存在なのか?なぜ特別なのか?」
最近読んだ本の中に、そんな問題提起をしたものがありました。それが、最初の人類である,サヘラントロプス・チャデンシス(約700万年前)から私たちホモ・サピエンスまでの誕生と絶滅の理由を説明しながら、ヒトが特別たる理由を検討した『絶滅の人類史 なぜ「私たち」が生き延びたのか』(更科功 2018 NHK出版)です。
今回はその本の中から、なぜヒトの脳が大きくなったのか、という面白い話を紹介します!!!

①誰かの「発明」がヒトの脳を大きくした

脳というのは、非常に燃費の悪い器官です。ヒトの脳は全体重の2%の重量を占めるだけですが、体全体で使うエネルギーの約20‐25%のエネルギーを消費します。このように、燃費の悪い脳を維持する為には、カロリーを多く摂取する必要があります。もちろん、今の時代のようにカロリーメイトや油多めのとんこつラーメンなどはありません。当時のヒトにとって、高カロリーな食事とは、「肉」でした。
ただ、弱肉強食の世界。「肉」は多くの場合、ヒトより体の大きい捕食者にとられてしまいますし、そもそも人には、大量の「肉」を手に入れるための武器がありませんでした。しかし、皆さんもご存知のように、人類は武器を発明しました。そう、「石器」です。石器を発明してからヒトは、安定して高カロリーな食事にありつけるようになり、脳を大きくすることができました。

②今も昔も集団生活は大変!?「うまくやっていく」ため

2つ目の理由は、現代人にも理解し易いものです。それは、「集団生活」においてうまくやっていく手段を考える為です。現代がそうであるように、集団で暮らすことには苦労が伴います。
現代において、大規模な集団で生活をする時間は、学校に行くとき、会社に行くときなど、そこまで多くないですが、昔は常に、複数の家族が1つの集団を組んで24時間、生活を共にしていました。
想像してみて下さい。そのような環境では、多くのトラブルが発生します。
例えば、集団には、「騙す・騙される」、の関係が生じます。動物を例に挙げると、メスのゴリラは、時々、群れから離れた場所に行き、普段とは違う、「集団の中の順位が低いオス」とこっそり交尾をします。その際、集団のメンバーにばれない様、メスゴリラは、普段の交尾と比較して発する声が小さくなるそうです。これはきっと、メスゴリラが、そのような状況でどうすればばれずに済むのか、を考えた結果でしょう。
このように、集団の中でうまくやっていくためには、知識をフルに使って、頭を働かせる必要があります。ゴリラを例にとり紹介しましたが、ヒトは脳の容量が大きく、また自分1人で獲物を捕まえる能力がなく集団に頼らざるを得なかったため、他の動物よりも頭を使う機会は多かったのでしょう。そのように、思考を繰り返すことで、ヒトの脳は大きくなったとされています。

僕自身、この本を読んで、「人の脳は大きくなったけれど、自分はその大きくなった脳を正しく使えているだろうか」という少し重いことを多少考えるようになりました。ヒトってなんだろう、自分ってなんだろう、歴史ってなんだろう、そんなことを一瞬でも考えたことがある人は、ページを捲る手が止まらなくなる1冊です!249ページの物語の中に、あなたの知的好奇心をくすぐる発見があるはずです!

                
Written by けん
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