はっ!とする、知らされていない世界。『わたしは、ダニエル・ブレイク』

アドバイス、映画

17年10月26日

今年(2017年)10月22日には、衆議院小選挙区選挙と比例代表選挙が行われましたね!みなさんは、ちゃんと投票しに行きましたか?もしかしたら、下宿生・留学中の人は投票に行けなかったかもしれません。「どの党に入れても生活は変わらない」「どうせ一票だし…」という風に、「政府」と距離が遠く感じている人も少なくないのではないでしょうか?また、「選挙」という形で自分の意見を表明することに必要性はあるのだろうか、と疑問を持つ人もいるかもしれません。今回は、そんな人たちにぜひ見ていただきたい映画を紹介いたします。

あらすじ

イギリス北東部ニューカッスルで大工として働く59歳のダニエル・ブレイクは、心臓の病を患い医者から仕事を止められる。国の援助を受けようとするが、複雑な制度が立ちふさがり必要な援助を受けることが出来ない。悪戦苦闘するダニエルだったが、シングルマザーのケイティと二人の子供の家族を助けたことから、交流が生まれる。貧しいなかでも、寄り添い合い絆を深めていくダニエルとケイティたち。しかし、厳しい現実が彼らを次第に追いつめていく。『わたしは、ダニエル・ブレイク』公式HP〈〉より

80歳監督がどうしても伝えたかった物語

前作の『ジミー、野を駆ける伝説』を最後に映画界からの引退を表明されていた、イギリスを代表する巨匠ケン・ローチ監督(80)。しかし、現在のイギリス、そして世界中で拡大しつつある格差や貧困にあえぐ人々を目の当たりにし、今どうしても伝えたい物語として引退を撤回してまで制作されたのが本作『わたしは、ダニエル・ブレイク』です。複雑な制度に翻弄され、人としての尊厳を踏みにじられ貧困に苦しみながらも、助け合い生きていこうとするダニエルとケイティ親子との心の交流が世界中を感動と涙で包み込みました。労働者や社会的弱者に寄り添い、彼らを取り巻く厳しい現実と、それでも今日を懸命に生きようとする人間たちを描き続けてきたケン・ローチ監督の集大成であり最高傑作との声が相次いでいるようです。

面白く、こころ温まる作品 でも 考えさせられる一作

本作の舞台はイギリス。皆さんの中でイギリスはどんなイメージですか?先進国、どちらかと言えば裕福な国、法体制がしっかりしている・・・など。私はプラスイメージを持っていました。この作品を見て、「そうとは言い切れない」事に気付きました。前進するイギリス、美しくお洒落なヨーロッパ像が少し崩れるようで正直怖かったです。

そして、この映画を見て「私たちには関係ない話」で完結して欲しくはないのです。「うん?・・・じゃ日本はどうなんだろ?」と一歩踏み留まってもらいたいのです。戦後、日本は高度経済成長期を迎え、その後「失われた20年」と言われ経済成長が低迷しているとは言え、生活水準は高い国です。でも、平等社会なのでしょうか・・・??

学習塾に通い、高校・大学は卒業、ご飯を毎日食べる、家に帰ると家族がいる・・・みなさんは、この生活は当たり前だと感じますか?もし感じていられるなら、日本の中でも富裕層に含まれます。日本は、富裕層と貧困層の「二極化」が激しいのです。「そんな国はダメなんじゃないかな…」、「少しでも変えるべきかな」、「なんか変じゃない!?」と感じたならば、選挙に行くべきです。18歳から政府に関与できる、国民としての特権を持っているのですから。

改めて、私は守られた環境で生きていることを感じました。福祉制度、先進国で進む格差社会について考えさせられる一作。でも、全然堅苦しくなく、コメディ調に伝えてくれる心温まる作品です!!

written by めいちゃん

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